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日本・中国・韓国の食文化の違い

(これは、アメーバブログに投稿済みのものですが、このブログに再掲することにします。)

 日本・中国・韓国の食文化の違いは概ね知っているつもりでしたが、いやいやどうして、案外知らないことが多いのに驚きました。ひょんなことから買った本「日本人は中国人・韓国人と根本的に違う」の中に食事編があります。それを読んで、“へえーそうなの”というものが幾つも出てきたのです。
 その読後感想ということになりますが、それをつづることにしましょう。なお、本書の表紙に「黄文雄(台湾)が呉善花(韓国)、石平(中国)に直撃」とあり、この3名が対談形式で書かれた本です。御3人とも日本に帰化されています。
 中国料理は脂っこくて味が濃い、韓国料理は唐辛子の辛さがきついなどは、誰もが知っていることであり、これらについては触れず、民族文化の特徴的な違いを中心にみてみることにします。
 以下、本書の抜粋をまず紹介します。なお、抜粋文の順序は項目ごとに整理しましたのでだいぶ入れ替えてあります。

石(中国) 世界各地の料理が食べられるというのは、日本文化の一つの特徴でもありますね。しかも現地のものより美味しいと評判のものも少なくない。…諸外国からさまざまな物を導入し、日本風にアレンジするという日本文化の特徴は、料理の面でもよく現れていると思います。

黄(台湾) 日本には音の味覚文化、音を聞きながら味覚を感じるという文化があると思います。川べりでせせらぎの音を聞きながら…という、風流な趣向があります。

石(中国) 日本料理は素材主義でとてもシンプル。その代表的なものが刺身で、これで料理といえるのかというところまでシンプル化されている。
…新鮮さ第一だから旬という考え方がある。自然が豊かだからこそのことですね。

黄(台湾) 2~3世紀頃の…中国の史書「魏志倭人伝」は、そのなかで日本人は長生きだと書いています。今でもそうですが、和食は長寿を保つと一般的に考えられていますね。

呉(韓国) 日本食といえば韓国では高級とまではいかなくても上品な料理となっています。逆にいえば、上品でなければ日本食の価値がない。

黄(台湾) どこの国にもたいてい和食の店がありますが、外国で和食の店をやっているのは、多くの場合日本人ではなくて、韓国人か台湾人なんですよ。…何が違うかというと、味も若干違うんですが、量がまるで違うんです。

石(中国) 日本料理は(外国での)普及の面で、中華料理にどうしても負ける点が一つあるんです。日本料理は素材の新鮮さ、特に海の幸を大事にしますから、この確保と管理、そこで普及には大きな限界を抱えているわけです。…それに比べると、中華料理は…現地でどんなものでも素材にできますし、それを炒めれば中華料理になってしまう。そこが強みです…。


呉(韓国) ラーメンといえば、もともとは中華料理ですが、今やその本場は日本ですよね。しかも、もう中華料理とはまったく別の、日本独自の料理になっているわけです。

石(中国) 日本のラーメン、この味の多様さ深さには本当に感心します。北京なんかどこの店でもラーメンは同じ味ですよ。…日本のラーメンの味は地方ごとに違うし、さらに店ごとに違う。…こんな展開をしている料理って、世界のどこにもないでしょう。…まさに日本文化の手法が息づいています。…ラーメンも確実にラーメン道といえる境地を切り開いていますよ。

呉(韓国) 韓国では、生のラーメンはほとんど広がっていませんが、インスタントラーメンは…爆発的な勢いであっという間に国民食になってしまいました。ですから、韓国人がラーメンといったら、生ラーメンのことではなくインスタントラーメンのことなんです。…韓国人はラーメンなんて貧乏人の食べ物だと思っていますから、韓国人のお客さんに日本自慢のラーメンを食べさせてあげようと、ラーメン屋に連れていって、ものすごく嫌な顔をされたという知り合いのビジネスマンがいます。


黄(台湾) 私はお茶漬けが好きなんですよ。…お茶漬けなんて、…中国人から見れば、まあ食べ物じゃないという印象が強いでしょうね。

呉(韓国) 日本に来てお茶漬けを知ったときにはびっくりしました。韓国人からすれば、あれはお粥でもないし、御飯でもない。…そういう私も、…今日はお茶漬けにしようとやっていますからね。

石(中国) 私も、お茶漬けはかなり好きなんです。


呉(韓国) 日本のお米の品種改良パワーはすごいですね。お米がこんなに美味しいものだなんて、日本に来てはじめて知りました。

石(中国) 留学生時代(90年代)に、日本のお米を10キロ背負って、故郷の四川省に持って帰ったことがあるんです。1キロずつに分けて親戚や友だちに配ったんですが、みんながみんな、なんて美味しいお米なのか、おかずがなくてもいくらでも食べられると、大喜びしていました。四川省は中国では一番の米どころですが、日本のお米みたいに美味しいのはないんですね。

黄(台湾) 台湾のお米もけっこう美味しいんですが、日本のお米はそれよりも格段に美味しいですね。


黄(台湾) 中国には古くから、「民は食を天とする」という思想がありますが、今のような時代を迎えて、中国の食文化はどんなふうに変わっていくんでしょうか。

石(中国) 「民は食を天とする」の裏返しでいえば、昔から大半の庶民は慢性的な食糧不足状態におかれてきたんですね。しばしば飢饉もありましたし。ですから、いいものを食べることが、昔から中国人にとっては無上の幸せの最たるものでした。…街で人と出合ったときの挨拶言葉は、中国ではだいたい「よく食べたか」なんですね。

呉(韓国) 韓国もずっと貧困でしたから、ご飯が食べられるということは、とてもありがたいことでした。街での挨拶も「もうご飯食べたか」なんですね。

石(中国) (中国人は)食べることへ懸命に情熱を注いでいきますから、…盛んに食材が追求されていきました。それで、広州では四つ足のものはテーブル以外なら何でも食べる、といわれるようにもなるんですね。
…日本人は昔から食べることには淡白だったんですね。よく「食事を済ませる」という言い方をするでしょう。…食事を楽しむというのではなくて、どこか面倒くさいようなんですね。「用を済ませる」のと同じで、仕方がないから済ませるみたいな感じです。

黄(台湾) 日本では昔から衣食住というでしょう。でも中国では食衣住なんですね。日本人は今でも食より衣への関心のほうが強いし、中国人は依然として食であって衣は二の次、三の次ですね。


黄(台湾) 何もかも食べ続けてきたのが漢民族ですね。…食糧事情がこの2千年間、ずっと豊かではなかったからですよ。とくに広東のほうでは、犬でも猫でもヘビでも昆虫類でも、食べられるものはすべて食べてきたんです。…その何でもかんでもの代表的な食べ物が雑炊ですよ。あらゆる食べ残りを全部ぶち込んで、それを非常に美味しくして食べるのが中国人です。

呉(韓国) 混ぜる文化…、韓国は中国と同じ系統ですね。
韓国といえば焼肉を連想する人が多いようですが、昔から肉を食べる習慣はほとんどなかったんです。…朝鮮半島では肉は常食になることはなく、ずっと菜食が中心でした。タンパク質はもっぱら大豆から摂っていました。海に囲まれていながらも、魚介類を日常食にすることは一般的にはありませんでした。…済州島では半島と違って魚介類をたくさん食べます。
…半島南西部の全羅道は…庶民の食糧事情は国内でもとくに悪かったんです。それで韓国では全羅道の人間は何でも食べるという言い方をするんです。一般ではほとんど食べないような野草を食べたりするんですが、そういう食材を工夫してとても上手に調理するんですね。これがとても美味しいんです。今でも、全羅道の料理が一番美味しいといわれます。


呉(韓国) 日本の料理は、お皿にちょこっと盛った…ものを、少しずつ味わうという感じですが、韓国はドッと山盛り一杯に盛るんです。「食卓の足が折れるほど」といういい方があるんですが、…これで自分がいかに豊かなのかを表現しようとするんですね。それで、客が食べきれずに残してしまう。これでいいもてなしをしたと、主人のほうは満足するわけです。

石(中国) 量で勝負というのは中国も一緒です。日本人なら、見ただけでお腹がいっぱいになってしまうかもしれません。ですから中国でも、食べ残してくれたほうが、料理を出した者としては満足できるんです。

黄(台湾) 食べる量でいうと、日本人は世界でも一番量の少ない民族じゃないかな。…中国人もたくさん食べる。台湾に中国の観光客が来ると、台湾人の2、3倍は食べるんです。

呉(韓国) 腹八分がいいというのは、日本人だけのことでしょうね。韓国ではとにかく腹いっぱい食べるのが幸せなんです。日本人には腹八分が一番気持ちいい状態なんでしょう。腹八分の状態だと…和歌を詠んだり抽象的な思考に頭を働かすこともできる。そういう余裕、これは文化ですね。これ以上はもう入らないといった腹いっぱいの状態では、もう何もしたくなくなりますから、文化なんて生まれませんね。中国でも腹いっぱいでしょう?

石(中国) もちろんそうです。中国5千年の理想は腹いっぱい食うことでしたから。戦後の日本は飽食の時代になってしまった、これはよくないという考え方は、まったく日本的な考え方ですよ。中国人は飽食の時代を何千年も待ち望んできて、今やっと飽食の時代を迎えて幸せをかみしめているんです。

(抜粋ここまで)

 ということでしたが、これより小生の感想を若干述べることにします。
 外国での日本食の味はいかに、これについては抜粋しませんでしたが、御3人とも決して美味しいものではなく、量が多いとおっしゃっておられ、小生の3か所(各1食)という数少ない海外経験でも同じでした。あれが日本食とされるなんて、大いなる誤解であり、困ったものです。
 修業を積んだ日本人の板前さんによる本物の日本食を外国で作ってほしいと願うも、抜粋文にあったように食材調達が困難ですから、日本から空輸でもするしかなく、本格的な日本料理は非常に高価なものになってしまうでしょうね。そうした店も世界あちこちにあるようですが、それは上流階級しか手が届かない。これでは庶民には高嶺の花。本物の日本食が海外で広まるのは残念ながらやはり無理なようですね。

 ラーメンに関しては、確かに「ラーメン道」の境地まで行っている感はしますが、昨今、小生の好みに合わないラーメンが多くなりました。
 高齢者になったから脂っこいものを敬遠するようになったこともありましょうが、一度食べたある店は脂っこし塩っ辛い、でも味はいい感じがしましたので、次回は脂少なめ、味薄めで注文したところ、これじゃあ不味くって食べられない、となってしまいました。
 小生も女房もラーメンは好物ですから、ときどき近隣を食べ歩くのですが、はまるような美味しいラーメンには近年出会っていません。どこもかも、脂を多くしてマイルドさを出し、塩気を多くして素材の悪さを隠す、といった感がします。
 これなら合格という店は他店より若干値が高く、客が疎らで廃業してしまう、これの繰り返し、といった感がします。もう20年以上前になりますが、近所にそうした職人肌の店主がおられたものの、経営難で廃業され、他のラーメン店の店長になられたのですが、悪い素材しか仕入れさせてもらえず、これじゃうまいラーメンは作れないと早々に辞められました。
 味付けは、小生も女房も昔からの鶏がらスープを好むのですが、近年は豚骨であったり海産物中心であったり、それを混ぜたものが主流となっている感がし、それらは口に合いません。鶏がらを好むのは少数派なんでしょうかね。

 御3人ともお茶漬けにはまっておられるようですが、これは、きっと日本のお米が美味しいことも原因していましょう。
 ところで、大半のお米は農協ルートを通じて米屋さんに渡り、そこで精米されて消費者の口に入るのですが、実はこのお米は不味いんです。
 原因は、農家が脱穀して持ち込んだ玄米を農協の超大型乾燥機で短時間に乾燥してしまうからでして、これがために不味くなるんです。農家が自分で乾燥機を持ち、ある程度時間を掛けて乾燥させたお米は美味しいんですし、さらにハサ掛けして自然乾燥させたものはより美味しいんです。
 また、栽培時の施肥量や水管理も味に関係するようですし、土壌そのものにも関係するようです。うちでは昨年から近所の篤農家から玄米をわけてもらっているのですが、同じブランド米でもスーパーで買ったり近所の農家からいただいたものとは断然味が違います。この篤農家は有機肥料は使ってみえないのですが、有機肥料を上手に使うともっと美味しくなるのは確かなようです。こうなると、日本人でももうおかずなしで何杯でも御飯が食べられます。
 御3人とも多分スーパーで売られている白米について語っておられるでしょうから、韓国や中国のお米はいかに不味いか、ということになりましょうね。各国政府が美味しいお米の品種改良に取り組んでいない、取り組んだとしても多収量品種の開発のみ、ということでしょうか。

 食べる量ということでは、中国・韓国が台湾を上回り、日本はうんと少ない、ということになるようですね。でも、これは非日常の食事について語られているようでもあり、毎日の食事となると、そこまでの差はないのではないでしょうか。
 また、日本でも、その昔はお祭で来客があったりすれば食べきれないほどの量を準備したものです。宴会の終わりがけに空の鉢ばかり並んでいてはみっともない、という感覚を皆が持っていたからです。普段質素な食事しかしていなかったからそうなりますし、来客も滅多に食べられないご馳走だから遠慮せず腹いっぱい食べたものです。
 しかし、その程度に大きな差がありそうです。台湾や日本は、大陸(中国・韓国)よりずっと自然に恵まれ食料資源が豊かな島国ですから、食うことに必死になる生活を強いられることはなく、特に日本列島は世界で一番恵まれていますから、食に関して貪欲になることはなかったことでしょう。
 もっとも、日本列島にも飢饉が訪れたことはありますが、これは非常に稀なことであって、通常は豊かな実りに支えられ、飢餓感を持つことはなかったようです。加えて平和が長く続いた江戸時代には、ごく一部の地域を除いて「間引き」が粛々と行われて人口調整ができていましたから、庶民の食も豊かであったことは確かなことです。
 こうしたなかから、江戸時代に腹八分とか腹七分という食養生が出てきたのですし、開国後の「早々に西欧に追いつかねば」という気の焦りから猛烈に働くようになり、食うには困っていないから「食事を済ませる」という感覚が生まれたのではないかと小生には思えます。
 「衣食住」か「食衣住」か、という言葉からしても、食べることを絶えず心配していなければならない大陸と、食べることには心配しなくてもいい島国という立地(豊かな自然そして異民族と無衝突)の差が顕著に出ているなあと感じた次第です。

 ついでながら、本書の食事編のなかに、米食と侵略に関して興味ある記述がありましたので、最後にそれを紹介しておきましょう。
黄(台湾) 中国歴代王朝の皇帝のなかで米を主食とした者は一人もいなかったらしいんですね。…それで、お米を食べる民族は皇帝になれないという通説があるんです。…アジア大陸のたいていの北方民族は、1回は中華世界の皇帝になったり、あるいは支配したりしたことがあるんですが、朝鮮民族は1回もないんですね。…なぜ…かというと、どうも朝鮮民族が米食だったことと関係あるんじゃないか…。

石(中国) 仮説としては、米を食べる民族はあまり侵略はしないということになるんでしょうか。…稲作というのは土地に居着いて…動けませんよね。…自分たちの土地を守る文化ですね。…そういう文化ですから、だいたい米を食べる民族は温厚ですね。日本人もそうだし、東南アジアの人たちにしてもそうです。ただ、中国の…近代以降は逆に米を食べるやつが天下を取るんですよ。孫文も蒋介石も毛沢東も鄧小平も、みんな南の出身で米を食べる人たちです。…近代以降を別にすれば、侵略性のある民族は、だいたいは遊牧民族か麦を食べる民族だというのは、どうも確実なようですね。

呉(韓国) 朝鮮半島でも…長い間北部では稲作をやってきませんでしたが、なぜ日本人はあんなに北のほう(縄文時代末期には青森県)まで稲作を広げていったんでしょうか。柳田國男さんは、それはお米を作ることそのものを信仰としていたからだとしか考えられないといっていますね。

石(中国) 畑作にはそれほど難しい耕作条件も高度な技術もいりませんが、水田稲作には…灌漑設備も作らなくてはなりませんし、育てるにもいろいろと手間がかかります。…とにかく土地に居着いて、しっかりした共同体を形成し、一つの土地で工夫しながら収穫量を増やしていくことになります。この土地から一歩も動かないということ、それこそが稲作民が生きていく最大の条件なわけです。ですから、稲作文化の地域には職人気質の人が多いですよ。日本人もそうだし、中国でも昔から素晴らしい陶磁器を作るのは稲作地域が多いですね。米を食べるということよりも、米を作るために形づくられてきた生活様式が、そうした稲作民の文化的な性格を形成してきたんですね。

(抜粋ここまで)

 いかがでしたでしょうか。本書には食事編の他に、教育、道徳、夢、マスコミの各編(正しくは章)があります。いつになるか分かりませんが、気が向いたときにでも紹介することにしましょうか。 
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プロフィール

昭和23年9月生まれの団塊世代人。    本名:三宅和豊              住所:岐阜県羽島郡岐南町三宅5-246  農家の長男として育ち、工業系の大学を卒業後、岐阜県庁に技術屋としてではなく事務屋として就職した変人。21年間県職員を勤めて、中途退職。父親が始めた薬屋稼業を平成6年に継いで今日に至る。平成12年頃から稼業の傍ら、母親の農業を手伝うなかで、百姓の魅力にとりつかれる。士農工商すべての身分を浅く広く何らかの形で経験していることが唯一のとりえである凡人。              著書は次のとおり。順次ブログアップ中。  随筆「ヤーコンの詩」(平成18年3月)   論文「食の進化論」(平成19年4月)   論文「新・学問のすすめ」(平成20年4月)論文「犬歯の退化」(平成22年9月)

Author:永築當果
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